
嘘をつける喫茶店

白亜の壁に赤い扉がトレードマークの喫茶店を訪れた。
扉を開けると天井はおろかくぐったはずのドアも消えている。
そのせいか店内というか部屋だった領域には太陽の光であふれている。
お店の店主は人の良さそうな老人で、
コーギーがその足元にいた。
カウンターに腰かけていた店主は私に「いらっしゃい」と声をかけると、
私の手を引きコーギーをなでるよう勧める。
どうやらこの店主、私を盲目と思っているらしい。
私はしゃがみ、床に触れ手を這わせてからコーギーの頭に触れた。
暖かかい。
長く犬と戯れていたかったが、
なんとなく居心地が悪くなって、帰る旨を店主に告げた。
すると、わざわざ私の手をとり青い扉の前にいざなった。
「またおいで」
彼は扉をあけ、にこやかに言う。
つられて微笑み返すが、
2度とここには来れないと悟ったので足早に扉をくぐった。
追伸
三脚は必須です。

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